1月 21

96時間 レクイエム

「96時間 レクイエム」を観ました。

評価:★★★

リーアム・ニーソン主演、リック・ベッソン製作・脚本で作られた人気シリーズの第3弾。脇のイメージが多かったリーアムですが、このシリーズを機に、主役級をもこなす俳優になったかな(もちろん、映画界に限った話ですけど)という印象があります。シリーズ第1弾の公開が2008年。引退した元CIA捜査官が、娘がフランスでさらわれ、犯人たちをひたすら追っていくという単純明快な作品ですが、思慮深いニーソンが演じることで、単純なストーリーラインにピリリとスパイスの効かせた良作になっていました。そしてシリーズ第2弾「96時間 リベンジ」では、逆に第1弾で肉親を殺されたテロリストたちがニーソンたちを追いつめるという、発想は面白い作品でしたが、追われる側に回ったせいか、発想以上の面白さが感じられない作品でした。テロリストたちも憎む割に、あっさりと返り討ちにあってしまうというアクションとしての見応えもイマイチだったように思います。そして、シリーズ第3弾の本作は、ニーソンが追う側に再び回るという原点回帰的な作風になった作品になっています。

ただ、追う側に回ったといっても、第1弾のようなスリリングさが感じられないのが、本作は妻を殺されたことへのリベンジ的な要素が含まれているからでしょう。追うだけでなく、妻を殺された容疑で警察からは逆に追われる身になるという、1作目と2作目の合いの子になっているというのが正確な表現に思います。主人公ミルズの悲しさというのがもう少しスクリーンから伝わればいいのですが、ニーソンはどちらかというと表情の起伏が前面に出るタイプではないので、1作目の娘を追うという単純明確な行動意思(本作は、妻のリベンジ)が感じられないのが、少々物足りなくもあります。それでもミルズ捜査官の持つスキルを存分に活かすあたりは、1作目のエピソードに似た味付けを意識している部分もあり、シリーズファンはニヤリとするところでしょう。

ミルズを追う捜査官にはベテラン俳優フォレスト・ウィッテカーが演じていますが、彼の持ち味が活きる役(端的に言うと役不足)ではなかったかなと思います。ミルズを追いながらも、逆にミルズを信用している部分もあるという難しい空気を出さないといけないので、もう少し二面性があるキャラクターを演じれる俳優であれば、お話としては一層盛り上がったかと思います。ミステリー部分だけではなく、アクションもふんだんに盛り込まれているので、見応え十分な作品になっています。

次回レビュー予定は、「アップルシード アルファ」です。

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