1月 26

アップルシード アルファ

「アップルシード アルファ」を観ました。

評価:★★★☆

士郎正宗の人気コミック映画化作品。士郎正宗といえば、攻殻機動隊か、これかという感じを持っているですが、攻殻機動隊にしろ、このアップルシードにしろ、過去の劇場版はかなり固いオーソドックスなSF劇になっている印象があります(原作とは絵づくりからいって違いますし)。電脳とか、義体とか、サイバーパンクの影響をもろに受けている、難解な攻殻機動隊に比べ、本作アップルシードのほうが話は分かりやすく、初心者にはオススメしたい作品。過去にも2004年に「アップルシード」が、2007年に続編となる「エクスマキナ APPLESEED SAGA」という2つの劇場版が公開になっています。本作は設定上は第1作の前日譚の位置づけになりますが、設定が過去のものとは全く切り離されている(ブリアレオスが最初からサイボーグになっているところなど)ので、リブート作品と見てもいいかもしれません。でも、オリュンポスやバイオロイドなどの、シリーズの設定を知っている人だったら、ニヤリと楽しめる設定もあるのは見逃せないところでしょう。

本作も、アップルシードシリーズの一作として捉えると、最初の公開になった2004年からCGアニメーションの技術が相当上がっていることにビックリします。2004年公開の「アップルシード」では主に背景はCGが使われているものの、メインとなるキャラクターや様々な乗り物は2Dのセルアニメで描かれるという、一風変わったテイスト(だからこそ、今見ても色褪せていない)の作品でした。これは演出というよりは、当時のCG技術やマシンパワー(もしくは製作費)の兼ね合いで、こういう斬新な形を取らざるを得なかったというところもあるのでしょう。続編となった2007年公開の「エクスマキナ」ではフルCGとはなったものの、やはり昔のプレステーション2や3の初期のRPGゲームのムービーのような、フルCGだけど、どこか違和感のあるモーション(物を食べたり、飲んだりするシーンが顕著)でぎこちなく見るしかなかった。それが2015年公開になった本作では、前作からおよそ7年という月日で、これほどまでリアルで自然な動きを実現できるようになったのか(+お金をかけなくてもというところも重要)というのに、技術進歩の早さというか、時代の流れというのを感じざる得ませんでした。

前作以前ではオリュンポスという理想都市国家の中で話が進んだのに対し、本作では2人はまだオリュンポスにたどり着けていなく、世界大戦以降、混沌としている世界の中で雇われ傭兵として働いている(この辺の設定も前作までと、微妙に違う気が、、)という設定になっています。本作中にはオリュンポスは登場していませんが、オリュンポスで登場してくる次世代兵器(その原型も含め)もいろいろ登場したり、オリュンポスがなぜ理想国家として登場するようになったかという背景部分も若干触れるので、シリーズファンでない人が見ると、ちょっと楽しめないかなという感じもしなくもないです。ただ、話自体は単純なので、CGアクションとしても迫力があるし、本作でしか登場しないアイリス、オルソン、双角、マシューズなどのキャラクターも濃いので、一定水準以上の面白さは楽しめますけどね。

次回レビュー予定は、「ST赤と白の捜査ファイル」です。

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