2月 05

ANNIE

「ANNIE/アニー」を観ました。

評価:★★★

トニー賞7部門を獲得し、日本でも定期公演が行われる人気ミュージカル作品の映画化。予告編で、「レ・ミゼラブル」や「アナと雪の女王」などの近作のミュージカル作品との対比をさせていましたが、本作はミュージカルではあるものの、歌で魅せるタイプの作品ではないかなと観ていて思いました。”Tommorow”など、ANNIEを知らない人でも、どこかで聞いたことがある音楽は確かに流れるのですが、よくミュージカル作品にある演出として使われる、歌で物語や場面展開を大きく変えるというような、お話と連動した歌の使われ方を本作ではしていないのです。原作となるミュージカル劇もこのような展開なのなら致し方ないのですが、観ていて、ミュージカルの力強さをあまり感じないのが少し残念でした。

それでも、この作品自体が輝きを失っていないのは、物語自体の組み立てがしっかりしているからでしょう。自由奔放で、誰からも愛されるANNIE。彼女の純粋無垢な気持ちなり、モノを見る視点が、周りの大人たちの行動を変えていく。誰しも昔は純粋無垢な子ども時代があったはず。でも、大人になるに従い、世の中が全てまっすぐ透明であるとは限らないことを知る。それに絶望しながら、周りに壁を作りながら、私たちは知らない間に大人になっていく。ANNIEは自分の不幸も省みず、常に透明で、純粋であることを信じて、周りの人間に接している。そんなANNIEの言動に、自然の周りの大人たちも心を開き、輝かしい明日や未来を信じる気持ちを取り戻していく。このANNIEという作品は、誰しもが持っているであろう、心の中の小さなANNIEに気づかせてくれることに、多くの人の共感を得てきているのではないかと思うのです。

そんな純粋無垢なANNIEを「ハッシュパピー バスタブ島の少女」(これも素晴らしい作品だった)で、最年少でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたクヮヴェンジャネ・ウォレス。「ハッシュパピー」と比べると、本作で彼女のANNIEとしての演技は少し控えめに感じるけど、それが逆に彼女自身がANNIEなのではないかというくらい自然体になっているところが、役者としての凄さを感じる部分です。スタックスを演じたジェレミー・フォックスもいいんですが、この作品で取り上げないといけないのは、ハニガン役を演じたキャメロン・ディアズでしょう。本作を観ていると、彼女はもう美人ヒロイン俳優からベテラン俳優になってしまった感もありますが、その美貌とは裏腹に、自分の利しか考えないハニガンのような一癖も二癖もあるような役柄がいつしか当たり役になってしまったような(誉めてるんですよ笑)気がします。性格が悪いハニガンが、ラストに見せる心の変遷が物語上も重要なキーポイントになっていて、ディアズの確かな演技が、本作でも1つのポイントになっているように思います。

でも、冒頭に書いたように、全体的にどうも話が上辺だけというか、薄っぺらさも感じてしまうのも事実。特に、前半部はミュージックビデオを見ているような話の薄さなので、ここに1つ楔(くさび)を打ち込むような演出を見せれば、物語が展開していく後半部ももうちょっと盛り上がったような気がします。

次回レビュー予定は、「ミルカ」です。

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