2月 17

チャーリー・モルデカイ

「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密」を観ました。

評価:★★☆

出演作は必ずといっていいほど日本で公開になるスターといえば、日本だとトム・クルーズと、本作のジョニー・デップだろうか。トム・クルーズについては近作になって出演作を吟味するようになってきたので、(同じ味わいの作品が多いけれども)出演作に当たり外れというのは少ない。一方のジョニー・デップは人がいいのか、役者としての力量を試したいのか、いろんな作風の映画に、いろんな役回りで登場する。非常に多才で芸達者なところは誰しもが認める才能というところだけれども、出演作自体が駄作であることも結構珍しくない。だから、あのジョニー・デップが出ている作品と思って、観る作品をチョイスすると、時たま大ハズレになってしまうことがあるので注意が必要だろう。

といいつつ、本作が駄作なのかといわれると、僕はそれほどでもないと感じます。でも、日本では確実にヒットしないジャンル。ジャンルを無理やり当てはめると、泥棒ものコメディ+アクションといったところですが、こうした軽妙なアクションを絡めたコメディものというのは、昔から日本ではヒットしないジャンルなのです。よくあるのが、スパイアクションコメディとかだけど、似たようなジャンルの作品ではジョニー・デップのような一流スターが演じることが少ない(ウィル・ファレルやローワン・アトキンソンなどのコメディアン俳優が主演のことが多い)ので、劇場未公開になることも多い。本作が拡大公開されているのは、まさにジョニー・デップが主役だからに他ならないです。この分野で劇場にかかるのは、日本ではジャッキー・チェンが主演になっているものくらいでしょう。

話を作品に戻すと、デップ演じるチョビ髭がトレードマークの怪しい古物商が、ゴヤの名画に隠された謎と、その盗難事件を巡り、世界中を駆け回るコメディになっています。アクションも絡まってくるのですが、デップの出演作でもある「ローンレンジャー」のようなアクション主体の作品でもなく、デップ演じるモルデカイという謎の人物も、コメディの主役にはあるものの、アクションの立ち回りはなく、なぜか彼の周りで起こるドタバタ劇をコメディタッチで乗り切ってしまうという体裁の描かれ方になっています。アクションの部分を担うのは、ポール・ベタニー演じるモルデカイの用心棒。これがジャッキー・チェンが主演ならばこうした2つの役回りを一人でこなしてしまうのですが、役回りが2つに分かれてしまったのも、作品が微妙に盛り上がりに欠ける原因のような気もします。

とはいいつつ、アクションコメディという面では物語の破たんもないし、一定水準の面白さは出していると思います。ドリフや吉本劇団のコントが好きな人には、それにアクションがついたと思えば楽しめなくもないと思います。「ローン・レンジャー」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」のような骨太アクションを期待すると、大幅な肩すかしを食らうことは請け合いです。本当に、このジャンルは日本ではウケないな(笑

次回レビュー予定は、「百円の恋」です。

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