2月 22

アゲイン 28年目の甲子園

「アゲイン 28年目の甲子園」を観ました。

評価:★★

プロ野球にも、往年の野球選手が出場するマスターズリーグがある(2010年より休止中)ように、高校野球でも、かつての高校球児たちが夢の甲子園を再び目指す、マスターズ甲子園という大会が開かれているようです。しかしこれ、出場するのが結構大変で、まずは地方予選を勝ち抜かねばらなず、それには母校の野球部OBクラブを結成し、全国高校野球OBクラブに加盟し、地方予選が行われるように8校以上の加盟クラブを集めないとならない。僕も卒業した学校の部活・サークルのOB会みたいなものには所属していますが、社会人ともなると、そのOBを集めることすら大変なもの。全国高校野球OBクラブの加盟校は503校と結構な数があるものの、地方レベルでは、例えば、北海道は加盟クラブが1校しかなく、予選会が行えないなどの状況になっている。それでも夢の甲子園をめざし、今でも熱い心で野球をしている人たちもいると思うと、それだけで結構胸が熱くなる。

本作は、そんなマスターズ甲子園をテーマとして扱った作品になっています。28年前、夏の甲子園大会に向け、地方予選の決勝まで進んだ実力校が、とある部員の暴力事件により、甲子園一歩手前で出場辞退という不運を味わった。それから28年後、その野球部のキャプテンだった主人公・坂元は、暴力事件をおこした部員・松川の娘・美枝の誘いから、マスターズ甲子園を目指すことになっていく。。

物語は、再び甲子園を目指すオジサン集団と、28年前に甲子園の出場辞退となった原因の暴力事件の真相という、2つのエピソードが絡み合った形で進んでいきます。キーポイントとなるのが、高校生という子どもでもない、大人でもない状況が生み出した不運と、28年の年月を経て、大人としての酸いも甘いも分かった中年たちが、あらためて当時を振り返ることの意味合いというところなんですが、これがどうも決まっていない。事件のみにフォーカスするとマスターズ甲子園がどう絡むのかが分からないし、逆にマスターズ甲子園で勝ち上がることにフォーカスしていくと、そこに暴力事件がうまく混在できないという、くっつけたいけど、磁石のNとNのように、それぞれが離れようとするという、どうにも居心地の悪い感じにお話がなっているように思います。マスターズ甲子園に出場する大人たちの姿もいいし、やむにやまれぬ事情があった暴力事件の真相から、娘・美枝が受け継いだ教えも、それなりに感動できる物語になっているのに、2つを混ぜようとして、全体的におかしな雰囲気になってしまっているのです。それに坂元の家庭の事情とかも入ってくるので、またピンボケ具合が増してしまっています。これはいただけない。

誤解のないようにいいますが、それぞれのエピソードは実によくできているのです。監督の大森寿美男は、2009年公開の「風が強く吹いている」では、それぞれの事情がありながらも駅伝で心が1つになっていく学生たちをうまく描いていただけに、本作ではその力量を感じることができなかったのが少し残念でした。

次回レビュー予定は、「悼む人」です。

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