4月 20

ジュピター

「ジュピター」を観ました。

評価:★★☆

3Dの字幕版にて。

「マトリックス」のウォシャウスキー姉弟監督が仕掛けるSF叙事詩。ウォシャウスキー姉弟監督といえば、1999年から連続公開された「マトリックス」シリーズ以降、一昨年前の「クラウド・アトラス」まで目立った作品がないという寡作というか、1作にかける力量が凄まじいというイメージでしたが、本作はよく言えば力の抜けた、悪く言えば普通のSF作品になっている気がします。「マトリックス」のサイバーパンク的な要素を求めると、とっても肩すかしに合うと思います(笑。

ネタバレになるかもしれませんが、本作のイメージはおとぎ話でいうところの「不思議の国のアリス」や「オズの魔法使い」的な要素があるのかなと思います。主人公が知らない間に、生まれ育ってきた背景から宇宙の壮大な戦争(というか家督争いのゴタゴタ)に巻き込まれ、右往左往していく中で、主人公自身も成長し、そして元の世界に戻っていくという形。恋愛という要素が途中に加わりますが、主軸は宇宙での様々なバトルというところに焦点が当たってきます。物語としてすっきりしないのが、こうした家督争いのゴタゴタがとっても見通しが悪い形になっているということ。そもそも主人公ジュピターがどういう存在で、彼女がいることでどんな危険がそれぞれのキャラクターにあるのか単純明快なほうが素直に楽しめたと思います。原作ものならいざ知らず、オリジナルストーリーということなので、もう少し工夫がみられるとよかったかなという感じがします。

でも、そんな要素をド返しするくらいにいいのが、SF劇らしい映像美というところでしょうか。特に、終盤での脱出劇は手に汗握るものがあります。3Dらしい表現が残念ながらあまり見られなかったのですが、ラストシーンの爽快さも、現世界に戻ったジュピターの新たな毎日を垣間見れるいいシーンに仕上がっていると思います。もう少し話を単純にしたほうがいいとは思いますが、それをしてしまうとウォシャウスキーでなくてもいい感じが全体的にするので、今回は3Dをお初に手掛けたという次のステップ作であることを期待します。

次回レビュー予定は、「ナイト・ミュージアム3」です。

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