4月 21

ナイトミュージアム3

「ナイトミュージアム エジプト王の秘密」を観ました。

評価:★★★☆

ショーン・レヴィ監督&ベン・スティラー主演の人気シリーズ第3弾。本作の結末を観て分かるように、本作でこのシリーズは終了といった感じになる(次作は、あって息子が後を継ぐ話とか??)と思います。2006年の1作目公開時にも劇場で観た覚えがありますが、とにかくニューヨークの博物館で動き出すキャラクターたちが面白い。学校の怪談ではないですが、暗い博物館だと、飾ってある剥製なり、人形があたかも動き出すんじゃないかという都市伝説チックな想像を、映像として見事に表現したのが本シリーズだと思います。ショーン・レヴィ監督も、「ビッグ・ライアー」のようにコメディの王道ながらも、あまりコメディコメディしすぎない大人な持ち味を持っているところが、舞台が博物館という、どこか博識ある素材をモチーフにしていることも相まって、コメディ映画ながらも日本でもヒットしたことにつながっていると思います。

本作でお話の見所となるのは、ラリーの息子ニッキーの一人立ちという物語。うまくエジプト王子アクメンラーと、その父ファラオとのつながりとの対比を図ろうとする工夫は見えるんですが、作品通して、この親子物語の要素は少し弱い気がします。それ以上に楽しいのが、今回乗り込むイギリス大英博物館で動き出すキャラクターたち。第2作目ではスミソニアン博物館が舞台でしたが、やはり舞台を変えることで登場してくるキャラクターたちに色が出てくるのが、このシリーズの楽しいところ。映像としても、フィッシャーのだまし絵の中をクルクルと動き回る演出は、アート作品のような味わいもあって、すごく面白い。お話自体は弱いけど、映像の面白さだけでも、本作は観る価値があるかなと思います。

そして、もう一つ本作を観なくてはならない要素としては、昨年(2014年)の夏に自殺という非業の死を遂げた、アイゼンハワー大統領(人形)役のロビン・ウィリアムズの最後の雄姿を観れることでしょう。近年はアルコール依存症との戦いもあり、出演作はここ数年はめっきり減っていましたが、ちょうど僕が映画をよく見るようになった頃の各作品に彼の姿があったように思います。「ミセス・ダウト」、「ジュマンジ」のようなエンターテイメント作から、「グッド・ウィルハンティング」、「インソムニア」のような格調のある作品まで、渋さの中にも笑いや温かみを感じる名優でした。ちょうどラストのシークエンスが、ラリーとアイゼンハワーが語らうシーンなので、ここでの別れが、彼自身とのスクリーンの別れのように感じてしまい、一抹の寂しさを感じてしまいます。シニカルな作品ではなく、こういったコミカル作で彼の雄姿をもう一度目に焼き付けるにはうってつけな作品ではないでしょうか。

次回レビュー予定は、「エイプリル・フールズ」です。

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