4月 23

ジヌよさらば

「ジヌよさらば かむろば村へ」を観ました。

評価:★

各作品で名ヴァイブレータとして活躍し、「恋の門」などの作品で監督業も行っている松尾スズキの監督作品(自身も出演)。松尾監督の過去フィルモグラフィーを観て、何か見ているだろうと思ったのですが、今回が意外にも僕にとっては初視聴作品でした。松尾スズキ氏の各出演作品を観ても、何となく監督作品も一筋縄でいかないんだろうな、、と思っていましたが、案の定、僕の趣味には合わなかったです。。

お話としては、都会でお金(→銭→ジヌ)のトラブルを抱え、心のトラウマを負った青年が、お金を一切使わないように田舎に引っ越し、そこで起こるドタバタ劇を描いています。出演陣も一流どころがそろっているので、単純にコメディとして面白そうな作品なのかなと思いましたが、このドタバタの仕方が非常に中途半端になっている印象を受けます。松田龍平演じる主人公・タケが、いざ田舎暮らしを始めようにも、”お金を使わない”というお題目があるだけで、後先考えない初心(うぶ)な行動をしてしまうところはまだ分かる。それに阿部サダヲ演じる与三郎がツッコミのごとく、タケの生活に関与していくのですが、ここが笑えるところを目指しているのか、心温まるハートウォーミングなお話にまとめようとしているのか立ち位置が微妙なのです。絡んでくる村人も皆いい人たちだけど、いい人たちというのが表層的すぎて、お話には深くかかわりこんでこない。そのくせ時々、ハチャメチャにする謎のキャラクターが時々顔を出しては、物語をあらぬ方向に差し向けようとする。お話を引っ張るナビゲーターのようなものがないので、観ているこちらは何か罠にかかったように身動きが取れず、立ち往生するしかないのです。

ぶっ飛びにするなら、キャラクターだけではなく、お話全体をもっとぶっ飛んだものにしたほうがよかったかもしれません。迷走した挙句に、最後の最後にはいい話っぽく収めようとしていくところが、やはり全体的に中途半端な印象しか残さないと思います。神がでてくるのなら、かむろば村の人たちは実は天使だらけで、都会から時々悪魔がやってくるというようなコンセプトにしてもよかった。選挙とか、レイプまがいの脅迫とか、よく分からないエピソードが並ぶのも、全体的なクオリティを下げているように思えてなりません。もっと作品全体の統一感が欲しいと思う一作でした。

次回レビュー予定は、「間奏曲はパリで」です。

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