8月 12

天才バカヴォン

「天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬」を観ました。

評価:★★☆

今年生誕80周年となる赤塚不二夫の名作であり、不朽の迷作でもある「天才バカボン」が、映画化もされている「鷹の爪団」などのFlashアニメシリーズでお馴染みのFLOGMANによるコラボレーション作品。今回コラボされているのは「鷹の爪」ではなくて、これはアニメ界の名作でもある「フランダースの犬」。「天才バカボン」がFLOGMANによって、どういう味付けをされるのかというのも興味があるところでしたが、それ以上に、なぜ”バカボン”と”フランダース”が共演するのか、、これは観てみないと始まらないと、予告編にて強烈な観る決意をさせた映画でした(笑

FLOGMANの作品を観たことがある人ならば、彼が繰り出す不条理な物語と、いろいろコバカにしたようなスーパーデフォルメを期待するところですが、その期待を本作も裏切らない作品になっています。バカボンのパパの、本当の名前はなんなのか? こんなどうでもいいような話を、悪の秘密結社(「鷹の爪」ではなく、インテリペリという集団)が知るために、送り込んだのは地獄に落ちた「フランダースの犬」の主人公ネロとパトラッシュ。地獄から這い上がってきた彼らは、持ち前の純な目線をバカボンに向けつつ、バカボンのパパにじっくりと近づいていく恐ろしい計画を立てるのだった。。

「鷹の爪」が結構好きな僕ですが、本作は「鷹の爪」以上にどうでもよい話が展開していきます。そんなナンセンス劇ではあるのですが、そこに巻き込まれるネロとパトラッシュがバカボン一家と触れ合うことで、地獄の使者から、本来の彼らの姿に逆に戻っていくという構成が、話の割には何だか”まとも過ぎる”ような気がして、インパクトに欠けるところです。ですが、赤塚不二夫がバカボンに残した強烈なメッセージ(”これでいいのだ”)というのが、「フランダースの犬」で物語を作っていった彼らが、いろいろな変化がありながらも、彼らがあるべき姿へと帰っていく。たとえ、西から上ったお日様が、東に沈むような世界の変化が起きたとしても、それはそれでいいじゃないか。この普遍的なメッセージが不条理劇の最後についているのは、何とも感慨深い気持ちにもさせてくれる作品でもあります。

次回レビュー予定は、「日本のいちばん長い日」です。

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