10月 01

ジェームス・ブラウン

「ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男」を観ました。

評価:★★☆

日本でも、”ゲロッパ”で知られる(昔、そんな名前の映画もありましたが、、)ソウル歌手、ジェームス・ブラウンの半生を、「ヘルプ 心がつなぐストーリー」のテッド・テイラー監督が映画化した作品。「レイ」や「ウォーク・ザ・ライン」など、一頃はミュージシャンの伝記映画というのは活況でしたが、ここのところミュージシャンに限らず、伝記映画自体が下火に感じるのは気のせいでしょうか。。主演は「42 世界を変えた男」で、黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンを演じたチャドウィック・ボーズマンが演じています。

ちょうど、ボーズマンが演じているから、、というわけでもないですが、何となく印象が「42」を観たときと同じものを、本作でも感じました。ジェームス・ブラウンのソウルフルなライブイメージ(実際を観たことがないので分からないですが)が、そのままスクリーンに投影されていて、迫力満点。冒頭がいきなりおかしな集会シーンでの暴発から、回想という形で始まっていくので多少の違和感はありましたが、物語も結構そつなくまとまっていると思います。いい映画ではあるんですが、何か、どこかありきたり過ぎて物足りない。これも一頃、伝記映画が立て続けに出てきたことによる小食現象(観すぎていて、しばらくはいらない。。)ということなのかもしれません。

それともう1つの映画にイマイチのめり込めない理由としてあるのが、映画の進み方として冒頭のシーンに帰ってくるという帰結がある程度決まっているからということもあります。幼い頃に母から見捨てられたトラウマ。それを抱えながらも、ソウルからファンクへと魂の叫びを世の中に発しながら、ミュージシャンとして成功の階段を上がっていくジェームス。しかし、心の中の空虚さは、彼が有名スターになることで埋まり切るものではなく、結局それが周囲との軋轢を生むようになる。そこから一転、物語は冒頭の崩壊しかない方向へと動き出していくのです。「ウォーク・ザ・ライン」とかもミュージシャンとしての崩壊(=苦しみ)が物語の要素としてはあるんですが、あの作品はそれを越える愛という点に結実させたから、映画としては見応えのあるものになっていた。対して本作は、とことん崩壊に進むしかないところに見ていて多少のゲンナリ感を感じてしまうのです。

でも、伝記映画としては一定水準以上のデキにはなっているとは思います。ボーズマンもいい演技なので、もう少し彼個人が引き立つ映画に早く出てもらいたいなと思わずにはいられません。

次回レビュー予定は、「ピクセル」です。

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