10月 14

しあわせはどこにある

「しあわせはどこにある」を観ました。

評価:★★☆

美しく、気の利いた妻を迎え、何不自由なく暮らしている精神科医が、毎日の患者の不幸話を聞いているうちに改めて人生の幸せを問い直す旅に出るというコメディ。主演の精神科医を演じるのは「ミッション・イン・ポッシブル」シリーズにも登場し、最近活動の幅を拡げているサイモン・ペッグ。美しい妻クララを演じるのは、「ゴーン・ガール」での演技が印象的で、こちらも最近は引っ張りダコ状態のロザムント・パイク。監督は、これまたお久しぶり感のある「Shall We ダンス?」のピーター・チェイソムが手がけています。

こうした売れっ子俳優たちが登場している小品ではありますが、ピリリと効いた面白さがあるかといわれると少々疑問符なところ。そもそも主役となる精神科医が悩む幸せの問題というのが、自分が不幸になっているからではなく、患者によって幸せとは何かを問うという、一見にして贅沢な旅となっているから。この主人公のヘクター自身は感じていないかもしれないですが、お金にも不自由がなく、住んでいる家も豪華だし、美しい妻もいて、そもそも何も不幸な要素がない。そうした主人公が幸せを探しに行く、、と言われても、映画を観ているこちらとしては、すごく高見から見られているような気がして、映画のお話自体に入って行き辛いのです。

しかし、そうした心理的な障壁があるくらいで、映画そのものは大きな破たんもなく、お話もスムーズに流れています。最後の最後には結局安易なところに持っていくのは少々残念なところではありますが、ヘクターが訪れるいろいろな場所の風景も面白いし、そこで出会う人々も個性溢れる面々でお話に引き込まれていく。僕自身は、結局人の幸せなんて他人には評価できず、自分が定義するしかないと思う方なんですが、いろんな人の生き方に、自分の生き方が影響を受けるのも確か。過去のこっぱずかしい想い出も、未来への漠然とした不安も全部ひっくるめて自分でしか捉えきることができない。人は時に惑い苦しみますが、都度こう思い返しながら生きることが、明日を生きる希望へとつながっていくのかもしれません。

次回レビュー予定は、「ドローン・オブ・ウォー」です。

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