10月 22

ヴェルサイユの宮廷庭師

「ヴェルサイユの宮廷庭師」を観ました。

評価:★

中世のフランスにおいて、太陽王と呼ばれたルイ14世が1670年から造営をスタートさせたヴェルサイユ宮殿。数々の歴史の舞台でもあり、象徴としても使われ、現在でも多くの観光客を迎えている。この宮殿の中心にある”舞踏の間”と呼ばれる場所は、ある女流造園家の苦心の手によって造られていた、、という歴史秘話をもとに描かれた作品。主演の女流造園家マダム・ド・バラを演じるのはアカデミー俳優でもあるケイト・ウィンスレット、監督はルイ14世役でも出演しているアラン・リックマンが手掛けています。

予告編で感じたイメージと本編とは違うことはよくありますが、僕にとっては本作もその1つ。予告編の段階では、男中心社会の中世において、水がうまく引けない大地の特性にもめげず、名園と呼ばれた庭を作り上げた女流造園家の仕事っぷりを描く作品かと思いました。でも、本編でそういうところを見せるのはあくまで序盤だけ。中盤以降は、マダムがルイ14世や、彼女を引き抜いた庭園建築家アンドレ・ル・ノートルなどの男女関係をにおわしながら、仕事に生きなければならない(と表面的には感じる)彼女の辛い過去がリズム悪く挿入されるなど、何か焦点が合わずに作品が終わってしまった感があるという、非常に残念な出来だと思います。

監督のアラン・リックマンは「ダイ・ハード」や最近だと「ハリー・ポッター」シリーズのスネイプ先生役など、小粒にきくキャラクターを好演しているイメージがあったのですが、初監督作である本作ではうまく力量を発揮できていないように思います。舞台役者としての経験も長いのですが、どうも舞台役者上がりの人の監督作とは、僕は相性が悪い(「恋の骨折り損」のケネス・ブラナーとか)ように思います。ラストシーンで、結局やりたかったことはあれかよと思うと、ちょっと自己顕示欲が強い作品だなという印象が(いじわるながらも)拭い去ることができない感じがします。

次回レビュー予定は、「ターナー、光に愛を求めて」です。

preload preload preload