「PAN ネバーランド、夢のはじまり」を観ました。
評価:★★
3Dの字幕版にて。
誰もが知っているピーターパンの物語を、ピーターパン誕生の秘話から描く、お伽話の前日譚という設定の作品。監督は「つぐない」などの艶やかな作品作りに定評があるジョー・ライト。役者陣が、「レ・ミゼラブル」のヒュー・ジャックマン以外渋く、「トロン:レガシー」のギャレット・ヘドランドや、「ドラゴン・タトゥーの女」のルーニー・マラーなどの日本では申し訳ないが知名度が低い面々ばかり。肝心のヒュー・ジャックマンもかなりの変装メイクで、一瞬彼だと分からないくらい。作品的には面白いところもあるので惜しいのですが、日本ではヒットしなさそうな作品でもあります。
お伽話の前日譚を描くというのは、映画としてもそんなに奇抜でもありません。でも、本作の面白いのは、後にピーターパンになる少年ピーターと、彼を目の敵として追う後のフック船長に、共通の敵がいるという設定になっていること。それがジャックマン演じる、海賊・黒ひげ。子ども(孤児)たちを、ピーターパンでも舞台になるロンドンから連れ去り、「マッドマックス」の如く、彼らを妖精の島”ネバーランド”でこき使う黒ひげ。しかし、ピーターは孤児院でも機転を利かせた独特の感性で、黒ひげの目を盗み、ネバーランドの奥深くに逃げ込んでいく。だが、そこにはピーターの出生の秘密となる驚くべき秘密が眠っているのだが。。。
物語としては、この黒ひげの存在にピーター、フック、そしてネバーランドの原住民たちが立ち向かっていくという構成。何だかこう書くと、安い「ポカホンタス」風な設定にも思えなく無いですが、最新の3Dを上手く使い、舞台となるネバーランドをファンタジックに彩ること、ピーターパンそのもののお話のエッセンスをうまく散りばめることで、素直に乗り切っていると思います。ただ、よくハリウッドの典型作品にありそうな、全体的に物語がアップテンポ気味にすることは、よく見ればめくるめく世界を体験できますが、どうも映画を薄っぺらくしてしまう逆の効果のほうが、本作は強いように思います。役者に華はないものの、ライト監督の持ち味で各キャラクターがすごく面白くなっているのに、こうした性急な作品の作り方は演出としては少し致命的と思えなくありません。
有名なフック船長のあのお話までたどり着かないので、シリーズ次作もありそうですが、そこではもっと腰を据えた作品作りを期待したいものです。
次回レビュー予定は、「バレエボーイズ」です。