11月 27

1001グラム

「1001グラム ハカりしれない愛のこと」を観ました。

評価:★★☆

世の中には何にしろ”標準”というものがある。例えば、時刻に関しては、世界には時差があっても、どこでも1秒、1分、1時間の価値は変わらない。それは私たち人類が、時という概念を発見して以来、曲げることができない価値(”標準”)として規定しているから変わることはないのだ。これは結構当たり前のようだけど、この”標準”をしっかり規定して守っている人たちがいる。本作に登場するのは、そんな人々にまつわる物語なのだ。

本作で登場する主人公マリエは、ノルウェーの測量研究所に所属する1人の研究員。ここの研究所では、世の中に溢れる様々なものの標準量を計測、規定しているのだ。そのマリエはあるとき、仕事で”1キロ”に関するフランスでの学会に出席するために、ノルウェーの1キロ標準器を持って出張に出る。そんな最中、父の病気なども発覚し、いつもは平穏で、ただただ仕事だけを正確にこなすマリエの周りもドタバタとしてくる。そのせいか、とある事故をきっかけに大事な1キロ標準器を壊してしまう。標準器を修復するためにフランスに再び旅立つマリエには、一つの固い決心があったのだが、、

予告編を見てもわかるように、マリエを演じるアーネ・ダール・トルプの好演もあり、作品序盤から至るところにキチキチ真面目ぶりを表現する固い演出が面白さを誘います。でも、これは北欧映画だから成立すること。同じことをフランス映画やイタリア映画のような、そもそも国民性がいい加減な(失礼ですが、、)国でやったら、そもそもこの物語が成立しなかったように思います。このカチカチした性格の雰囲気な作品、、どこかで見たような作風だなーと思ったのですが、どこか熱いものを内に秘めるキャラクター像の作り方など、「過去のない男」などのカウリスマキ監督作品(この人もフィンランドでしたっけ?)に通じるものを感じました。ただ、中盤までは面白いものの、ラストが意外に安直に予想できるところに終わってしまうのが残念なところ。これもノルウェーではなく、フランスで終わってしまうからでしょうかね(笑)

次回レビュー予定は、「アントマン」です。

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