12月 18

ファンタスティック・フォー

「ファンタスティック・フォー」を観ました。

評価:★

マーヴェル・コミックの人気ヒーローものの映画化作品。マーヴェルといえば、「アイアンマン」や「キャプテン・アメリカ」、そしてヒーロー大集合の「アベンジャーズ」シリーズなど、ディズニーと組んで、マーヴェルヒーローを中心とした”アベンジャーズ”伝説をつくりあげようとしていますが(近作の「アントマン」も然り)、本作に関しては、版権の関係からディズニーではなく、20世紀フォックスでの製作・配給となっているため、”アベンジャーズ”伝説には組み込まれない作品となります(この辺りの駆け引きは、「スター・ウォーズ」までそうですね(笑))。また同じ20世紀フォックスで、2005年に「ファンタスティック・フォー 超能力ユニット」、2007年に2作目の「ファンタスティック・フォー 銀河の危機」が公開(どちらも監督は「TAXY NY」のティム・ストーリー)されており、本作は違うキャスト、違うスタッフ陣で作られたリブート作品ということになります。

そんなリブート作品となる本作。物語の内容は2005年の作品と同じ、いかに超能力ユニットとなる4人が誕生したかという誕生秘話となるのですが、話の中身は全然違います。2005年公開作品は、科学者でもある主人公リードが後に敵となるヴィクターの研究所で行った壮大な宇宙実験中での事故という設定でしたが、本作はリード自身が7歳の科学少年だったという描写から始まり、学生となったリードがバクスター財団という資金力のある研究所から支援を受け、同じ学生研究員としてライバルとなるヴィクターが入ってくる(事故で超能力を得るという設定は同じですが)という設定に大胆に変わっています。すでに大人に成長したメンバーが授かる超能力といった2005年作品は、事故そのものよりも、与えられた能力を使って、ヒーローとして世の中に貢献していくかというヒーローモノの視点にすぐ移っていくのに対し、本作は変な青春劇を入れることによって、ヒーローものではない、大人への成長や友情ということがドラマの主軸に盛り込まれます。それはそれで物語として面白いものだとは思うのですが、序盤に提示されるいろいろな設定が昇華されないまま、いきなりヴィクターとの決戦場面まで話が進んでしまうのです。これは中盤以降にもう少し何かドラマが盛り込まれる予定だったものが、尺の関係か(何かの政治的な圧力か)、ごっそり抜け落ちているのです。この核となる部分が全く無いので、映画としてもとても消化不良な作品になっていると思います。

監督は「クロニクル」で世間を驚かせたジョシュ・トランク。彼が脚本も担当しているのですが、併記されているメンバーもかなりいるので、監督の理想とは別に脚本がリライトされているように思えてなりません。明るい雰囲気で進む2005年版を僕は結構好きだし、トランク監督の「クロニクル」も凄い作品なので、本作はすごく期待をしていたのですが、その期待が裏切られた分だけ評価も低く付けざるを得ません。序盤をしっかり描いているし、アクションの迫力もあるので、尺を長くするか、前後編の2作構成にして、じっくりとした作品作りを期待したかったところです。中身が薄いので、壮大な作品の序章と位置づけるくらいの作品にはなるかと思いますが、あまりヒットしていないので、このリブート作品でシリーズ化していくのは難しそうですけどね。

次回レビュー予定は、「パパが遺した物語」です。

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