2月 24

名は体を表すけど、名刺はビジネスチャンスを生み出す。僕自身はあまり外回りな仕事ではないので名刺を交換する機会はそんなに多くはないけど、やはり印象的な名刺の人は覚えている。「部長」や「主任」などマネジメントクラスの役職が書かれている人にはそれなりに敬意を払うし、「研究員」とか「工学博士」とか書かれている人には頭が上がらなそうだなと、名刺を貰った瞬間に思わされる。あと、たまにあるのが写真入りの名刺を貰うとき。数年前とかの写真で、本人と全然似てないときは思わず笑ってしまう。そうたかが名刺と思うが、難しい名前なんかの場合は話すきっかけにもなるし、日本固有のこのビジネス文化は意外に重要なのではないかと思うのだ。

クックパッドといえば、知る人は知っている料理レシピの共有サイト・共有アプリで大きくビジネスを伸ばしてきた会社だ。最近はSNSのような料理を使ったコミュニティの促進や、ゲーム要素を取り入れたポイントなど、単なるレシピ共有に留まらない拡がりを見せている。まだ、ガラケーの時代に1,2度使ったことがあるレベルでは、レシピだけでどうビジネスをしていくのか疑問符がついたけど、食材配達との連携などより使いやすいサービスというところにも注力をしている。

前に「信長のシェフ」の書評でも触れたけど、料理は作る方も、食べる方も、人間にとってはすごくプライベートな営みだと思っている。少し話はそれるが、笑福亭鶴瓶もあるラジオ番組で、”あの不味いイタメシ屋で、人生の大事な一食を無駄にしてしまった”と語ったが、1つ1つの食事を大事にすることが人生を豊かにするのではと最近は感じている。それは食べるもの(料理、素材)というのもそうだけど、食べる環境であったり、誰と一緒に食べるのかということもそうだろう。大学のとき、急性胃腸炎で一週間点滴だけで過ごしたことがあって、退院後初めて食べた食事(某チェーン店のドーナツというのが失敗したがw)が本当に食べれるということの幸せを感じたものだ。食は工夫をすれば、人生を楽しくしてくれる。クックパッドはネットの世界で、それを実現しようとしているのだ。

タイトル通り、クックパッド社員の名刺にはある秘密がある。それは本著を読んでもらえば分かるが、人生の楽しみである食を使って、人を幸せにしたいという社員の心が詰まっているのだろう。そして、そういう人たちが集まっているということはモチベーションもすごく高いのではないかと思う。そうした名刺の工夫をするだけで、社会人としてどういう人間かを、名前だけでなく、会社全体で何を目指しているのかをも表しているというのが何とも素敵だ。

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