5月 23

聖おにいさん

「聖おにいさん」を観ました。

評価:★★★★
(★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高で、★が最低)

中村光の同名コミックを映画化した作品。僕は原作ファンなんですが、映画化の話を聞いたときに、はじめは実写版かと思い、それは「HK 変態仮面」とは別の意味で変態的な作品になってしまうのでは、、、と危惧しましたが(笑)、やっぱアニメ化作品でした。中村光作品では、「荒川アンダーザブリッジ」が実写映画化されていますけど、やっぱ実写にするとぶっ飛び作品になってしまうんですよね。

この原作コミックの好きなところは、宗教オタクもビックリなほど宗教ネタが詰っているところ。去年くらいから仏教について私学で勉強していることもあって、ブッダの仏典からの引用ネタを、生活の中の不思議ネタに絡めるところが絶妙(逆に、キリスト教ネタはちょっと分かりづらいけど、、)なんです。もとい宗教自体が、人としての道徳観や生活の教えみたいなものが詰ったものだから、人の生活の中に絡まる部分がとっても多いのです。ちょっとした生活の小ネタが、宗教世界とつながりをみせ、一種独特のワンダーランド(これが中村作品の味だと思うのですが)を誕生させるのです。

原作コミックのこうした面白さを前提にすると、この映画版はちょっと物足りない。多分、映画にするということは、宗教的な部分を相当薄めないといけないという配慮が働いているのだと思います。原作ではブッダ、イエス以外にも大天使やブッダの弟子たちなど複数の宗教キャラが登場するのですが、映画版は最後まで主人公2人だけしか登場しない(ちょっと出かかるところはあるんだけど)。それでも異世界の大スター2人が東京・立川で感じる、日本の四季とそれに伴う人の情緒みたいなところが前面に押し出されていて、これはこれでいい作品になっていると思います。外国人になったつもりで、日本の良さを、この映画を通して再発見できそうな作品です。

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