12月 31

麦子さんと

「麦子さんと」を観ました。本作が2013年最後の観賞映画です。

評価:★★

吉田恵輔監督が亡き母に捧げた、母に関する映画。今年は「そして、父になる」という男が親になる父性ということを取り上げた作品があったけど、これは逆に一人の女性が母親になることとは何かを描いた作品。「そして、父になる」と違うのは、母親であることとは何なのかを娘の視点で描いているところ。そのことで母親とは何なのかを描いているのではなく、理解できない母親も、母になる以前に自分のような悩める一人の女性だったのだということを気づく中身になっているのだ。

演じている堀北真希という女優は、僕の中では本当にカメレオン役者。演技が上手い下手というレベルでは語ることができず、本当に彼女という人間がその役にうまくハマってしまうタイプの女優さんだ。本作も娘役と母親の娘時代をすんなりと演じている。変に娘である、母親であるという演じ分けがないのが、両方とも母親という冠をかぶる前に一人の女であったということを如実に感じられる演出になっている。ただ、双方とも変わらず、将来を悩める一人の女性であったということは理解できるが、それが母娘という一本の線でどうつながるのかが、この映画ではサッパリ見えない。映画の雰囲気だけはとことんいいんだけど、何か消化不良感が残るのは、こうした答えを何も提供してくれないことによるのかもしれない。

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