2月 03

アメリカン・ハッスル

「アメリカン・ハッスル」を観ました。

評価:★★★☆

毎年、この時期になると公開されるアカデミー賞ノミネート作品たち(今年の冬期五輪があるので、授賞式自体は3月2日開催)。本作も、作品賞・主演男優賞・主演女優賞など最多の10部門にノミネートされている。監督は、昨年の「世界にひとつのプレイブック」に続き、監督賞にノミネートされているデイヴィッド・O・ラッセル。僕はラッセル監督はメジャーデビューとなった「スリー・キングス」の印象がすごく強いんだけど、粗野でありがらも、心(ハート)は熱い男たちを描く姿勢は、「ザ・ファイター」でも、「世界にひとつのプレイブック」でも常に貫いている形。それが本作では詐欺師とFBIが絡んだ中で、男と女の愛憎劇とうまく絡まってくる。演じる役者たちもすごく個性のあるキャラクターばかりで、観ていてすごく楽しい作品になっています。

この作品で一番はじけている役者は、禿げ頭を体当たりで演じたクリスチャン・ベイル(主演男優賞ノミネート)でもなく、カメレオン的な魅力を出したエイミー・アダムズ(主演女優賞ノミネート)でもなく、昨年「世界にひとつのプレイブック」で最優秀主演女優賞を獲得し、本作で主人公の妻役を演じたジェニファー・ローレンス(本作でも、助演女優賞ノミネート)だと思います。彼女は本作の中で、物語をあらぬ方向にどんどんかき乱していきながら、物語の中央にいようとする、いわゆる狂言回し的な役割を演じているんですが、本当に”めんどくさい”女性を好演しているのです。予定調和にまとまりそうなのに、”空気を読まず”に、思わぬ方向に転がす、めんどくさい人って、どの世界にもいますよね。自分の近くにいたら、決して近くには置きたくないけど、(この映画を観ているように)傍から見ている分には、これほど愛するキャラクターはいないよなと思います。

ただ、凄く面白いのとは裏腹に、今までのラッセル作品と同じような話の筋なのがイマイチかと思います。ラッセル流が好きな人には面白いのかもしれないけど、映画としてはあまり進化を感じることができないのが残念。これなら、ラブ・ロマンスにうまくはめていった「世界にひとつのプレイブック」のほうが、(アカデミー賞を受賞するなら)作品映えした作品だろうにと思ってしまいます。クリスチャン・ベイルの禿げ頭とデぶったお腹を観れただけでも、十分に価値がある作品なんですが。(笑)

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