7月 24

怪しい彼女

「怪しい彼女」を観ました。

評価:★★★

アジア映画の中で、ずっとパワフルな作品を産み出し続けている韓国映画。韓国映画のいいところは、役者の美貌、、、だけではなく、ありえないような設定でも、ありうるところに持っていってしまうこと。ちょうど、今年の初めに観た「7番房の奇跡」という作品も、刑務所の中で子育てしてしまうという現実では考えられない設定。。それを単なるファンタジーにせずに、ちゃんと地に足ついたヒューマンドラマに仕立ててしまうのはさすがだと思います。本作「怪しい彼女」も、70歳のおばあちゃんがある魔法で若返ってしまい、自分の人生を再出発していくという奇想天外なストーリー。それでも、家族の在り方や自分の人生にとって大切にしたいものなど、至るところに映画作品としての問いのようなものが散りばめられていて、またも見ごたえ十分な作品に仕上げてくれています。

ただ、この作品、こうした奇抜な作り方がすべてハマっているかといわれると、正直難しいなと感じる部分もあります。これは作品自体がどうのこうのではなく、日本の感じ方と、韓国での感じ方が微妙に違うところがあるのかなという点です。例えば、いつも口うるさい主人公マルスンが息子の嫁にとる態度が非常に横柄な割に、若返ったオ・ドゥリとしてとる行動から、その嫁の苦労をよく理解したようには思えないところ(だからラストもあまり感動がない)など、そもそも70歳だったマルスンが、なぜ人に横柄に接してしまうのかという理由がよく理解できず、オ・ドゥリとして再出発したいという強い動機に結びついていないように感じました。横柄になってしまう原因が、社会に対して強く生きていくための防御策だったのか、そもそも韓国では普通に理解される国民性みたいなものなのか、何かこうにしか生きてこれなったというキャラクター像みたいなものの組み上げが、日本では理解されないように思ってしまいました。

このあたり、例えば香港映画とか、台湾映画のようなところにいくと、ナイーブなキャラクター像を作るのが上手いんですよね。国が違えば、歴史も違う、、だから、感じ方も違うのは当然なのだと、映画の本筋とは違う理解ができた作品でした。

次回レビュー予定は、「ミスターGO」です。

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