9月 08

マダム・イン・ニューヨーク

「マダム・イン・ニューヨーク」を観ました。

評価:★★★★★

インド映画といえば、上映時間が長い、衣装も化粧もケバい、訳の分からないミュージカル満載、、という、どちらかというとネガティブな印象しかなかったのですが、近年のインド映画は何か違います。昨年2013年のマイ映画ベスト10にも入れた「きっと、うまくいく」もそうでしたが、従来のインド映画の良さを巧みに活かしながら、なおかつインド国外に持っていっても十分に鑑賞に耐えられる、、というか、惹きつけられるほどの魔力を持った作品が多いと思います。中国に次ぐ人口を抱えるインド。多民族な国ながら、中国のように文化的な縛りも強くないので、多様な一人一人が持つ価値観というのを、うまく表現できている作品が多いように感じるのです。ハイセンスになった、インド映画は一時期の韓国映画以上の爆発力を秘めていると思います。

そんなインド映画の中で、また素敵な作品ができたなと思うのが本作。話としては、アメリカで生活を送る姉一家の結婚式の準備に、一人のインド人女性が渡米していくお話なのですが、同時に学ぶことによって、自分自身を開放していくという別の側面を持ったお話でもあるのです。やはりインドにおいても、厳格な上流社会の雰囲気というのはあるようで、男性優位な家庭の中、女性がどのように自分の力で立脚していくかというところに視点があたっています。面白いのは、インドという多民族な国から、またアメリカという多民族な国に行くという設定。ここには古くから映画でもよく描かれているように、”自由の国”アメリカという信仰がまだ生きていて、まだまだ家族主義であるインドとの対比がうまく出ています。やはり、自由であるということは重要なんだなと見ていて思いました。

結構真面目なテーマを語りつつも、教室に集う多様で面白い教師や学生たちなどゆるく笑えるところを作ったり、家庭に自分が犠牲になっているとはいいつつも、それでも家族は愛しているという若干抑えたトーンの演出になっているのも素敵だと思います。それが後半になるに従い、結婚式という華やかな場と合わせこんだように、物語が最後に大団円を迎えるというのは見事な描き方をしているの一言に尽きます。実写映画ながら、インド映画の味でもあるミュージカルトーンな部分も効果的に入れて、作品を盛り上げている。この計算された演出もすごいです。

これからの続々と公開となるインド映画も見逃せません。

次回レビュー予定は、「ノア 約束の舟」です。

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