5月 15

ワイルド・スピード SKY MISSION

「ワイルド・スピード SKY MISSION」を観ました。

評価:★★★★

2001年公開の「ワイルド・スピード」から足掛け14年、シリーズとしては7作品目となった本作「ワイルド・スピード SKY MISSION」。このシリーズ、1~3までは普通に「ワイルド・スピードX2」とかだったが、4作目で「MAX」と5作目「MEGA MAX」。6作目で「EURO MISSION」から7作目の「SKY MISSION」と来てきます。題名なんかどうでもいいという感じもしなくもないですが、最初に「SKY MISSION」って何作目だっけと一瞬考えてしまうので、この辺りのさじ加減はもう少し配慮したほうがよかったかなと思います(原題は素直に1~7までついているのに、、)。

本作はシリーズの一つの区切りを迎えています。本作でラストにしてもいいし、本作以降に亜流として残っていっても、どういう形でも迎えられるのは思いますが、シリーズ当初から主役ブライアン役として登場してきたポール・ウォーカーが2013年11月に本作の撮影期間中(撮影中ではない)に、交通事故死を遂げ、シリーズとしての出演は本作で最後になってしまったということ。遺作としてカウントされないのは不思議と思っていました(正式な遺作は「フルスロットル」)が、どうやら本作登場でのブライアンのシーンは全編ポール・ウォーカーが演じているのではなく、彼の弟やシリーズを通して撮影された映像をうまく構成して作り上げているのだとか。観ている間は全く気にならなかったくらい、すごく繊細に編集して作り上げられていることに素直に感動するのですが、同時に彼がいなくなってしまい、作品中のブライアンがこれ以降はいなくなってしまうことに一抹のさみしさも感じます。多分、ウォーカーの死によって、本作の企画が大幅に変わって、彼の死と、ブライアンの旅立ちがうまく構成できるように脚本も変えていると思います。これは遺作というレベル以上の、彼との別れを映画というフィルターを通して、愛おしめる秀作になっているのです。ここまでもってきた製作陣にあらためてアッパレといいたいくらいです。

ブライアンの旅立ちだけではなく、本作では過去シリーズで、特に番外編の色合いが強かった「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」をうまく物語の中に取り入れ、シリーズ作品としての位置づけを強固なものにしています。この「ワイルド・スピード」シリーズはもともと1作目がインディーズから思わぬ形の大ヒットにつながり、シリーズ二作目以降をつくっていく契約の過程でキャスト陣のゴタゴタが続き、「ワイルド・スピードX2」ではヴィン・ディーゼルが全く出演しない、ポール・ウォーカーが引っ張る作品に、「TOKYO DRIFT」ではラストのラストにディーゼルが少し顔を見せるものの、主役二人がほとんど出演しない作品になっていました。これもシリーズ終結を謳うならば、シリーズファンにとって宙ぶらりんだった、「TOKYO DRIFT」がしっかりと組み込まれたのも嬉しいところ。「TOKYO DRIFT」で主役を務めたルーカス・ブラックも本作でカメオ出演を果たすなど嬉しいサプライズも用意されています(書いていて、結構ネタバレオンパレードですが、、)。

兎にも角にも、とりあえずシリーズとしての区切りを見せながらも、相変わらずのカースタントを魅せてくれるのも本作の特徴。ただ、「MEGA MAX」や「EURO MISSION」で見せた金庫を引き下げての爆走や、戦車を持ち込んだ重量級のカーアクションは最小限に留め、あくまでシリーズ当初に魅せていた走りとしての魅力を描くところに特化しているところは、これまたファンとしては嬉しいところ。シリーズを連続してみている人も、そうでなく最近DVDで全シリーズ制覇した人も、是非スクリーンで必見な作品となっています。

次回レビュー予定は、「セッション」です。

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