7月 28

シグナル

「シグナル」を観ました。

評価:★★

音楽が好きな人はCDのジャケットの雰囲気だけで買う人もいるように、映画好きなら予告編の印象だけで観る映画を決めるという人も結構いるんじゃないでしょうか。本作「シグナル」を観た理由はそんなところ。一昨年の2013年に公開された「クロニクル」のような雰囲気を持っているSF低予算系の作品かとワクワクしたのですが、観た印象は全て起こることが予定の想定内。描写的には一昔前なら奇抜と思える設定があっても、VFXが安価にできる今の時代に、そこまで飛びぬけた視覚効果があったかというと、それも少し微妙。作品全体は何か起こりそうな感じはするのですが、一発飛び抜けたような設定がないのです。

MITに通うニックとジョナスの二人は、ある日、学校に不正侵入しているハッカーを見つけ追跡する。恋人のヘンリーとともに、ハッキングが郊外のとある廃墟からされていることを突き止めるのだが、廃墟に三人が訪れた瞬間に、何か得体の知れない何者かに襲撃される。三人は気づくとある政府機関に囚われていて、彼らの身体にはとある異変が起き始めていた。。。

映画は1つのストーリーラインを作りながら、終盤でもちろんのこと1つの物語の終結を迎えるのですが、観た後に振り返ってみると、なぜ得体の知れない何者か(まぁ、結局宇宙人なんですけど)が主人公の学生らを狙い、彼らが乗ってくるようにハッキングをしかけたのかが全然分からない。囚われの身になって、彼らの身に起こっていく異変は可哀そうだが、このなぜ彼らなのかという理由が提示されないので、とことん理不尽な物語をリズム悪く見せられるので、観ている方がゲンナリしてくる。それこそ「クロニクル」のように偶然とか、たまたま居合わせただけというのならしょうがないが、本作ではわざわざエサを巻いているので、それなりの意図があってもいいはずなのに、、、と思ってしまうのです。

ただ、予告編の通りで、映像や色調もシンプルな形で整えられていて、世界観も映像の中でうまく1つの方向にまとまっているのはなかなか。この辺りは監督さんがミュージックビデオ界出身ということで、力量を感じるところでもあります。物語は追いついていないけど、主役を演じた三人(特に、ブレントン・スウェイツ)の演技力はなかなか。彼らが今後どういう成長を見せてくれるかは楽しみでもあります。

次回レビュー予定は、「インサイド・ヘッド」です。

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