10月 19

極道大戦争

「極道大戦争」を観ました。

評価:★★

「ゼブラーマン」、「忍たま乱太郎」、「風に立つライオン」とヒーローもの、アニメやコミックの映画化モノから、ヒューマンドラマまで年に何本も作品を生み出す三池崇史監督の原点というか、息抜きにふさわしいエンタメ極道ムービー。義理と人情の世界に憧れ、極道の世界に足を踏み入れた影山。しかし、彼は刺青も入れることができない半端モノだったが、極道の世界そのものも憧れとは程遠い地味で、しがない商売だった。ところがそんなある日、無敵といわれた親分・神浦が壮絶な死闘のうえ、身体を八つ裂きにされて死を遂げる。その死の直前、不死身といわれた神浦は、影山の首筋にかみつく。その不死身の能力は影山にも宿るが、いつしか力が暴走し、街中の人間が極道ヴァンパイア化していくのだった。。。

という、まぁ普通なら考えもつかないようなストーリーをやってしまうのが三池監督。しかし、三池監督は今でこそ商業監督ですが、もともとは「大阪最強伝説」、「極道戦国史」、「岸和田少年愚連隊」などコテコテの極道愚連モノ(いわゆる、まだVHSだった時代のB級ビデオ映画)の出身。本作もそうした血が沸き立つ極道モノに、「DEAD OR ALIVE」の破天荒さがミックスされた作品。なんたって街中がゾンビ化し、それもみんな極道化するなんて、ワケの分からないストーリー。これもちゃんと物語として収めてしまうところが、三池マジックを感じるところでもあります。

しかし、映画のバランス的には、いささかこの異色な極道世界を展開することが注力しすぎたかなというのがあります。街中が極道ゾンビになるというところまではいいものの、そこから物語を展開していく手法がいささか荒っぽすぎるかなと思います。いろんな殺し屋が出てくるのは観ていて楽しいですが、彼らがそもそも何を狙って登場しているのかが分からない。無論、異種格闘技のように登場に理由はなく、戦うことだけに主眼が置かれているといえばそれまでなんですが、映画なんですから、もう少し構成を考えてほしいなと思います。

そう思うと、ちゃんと映画としてのプロットを組み立てながら、最後に破壊する「DEAD OR ALIVE」は名(迷)作だなーと未だに思います。昨今の三池監督作品に飽きた人は、原点回帰を試みた本作で三池節を感じるのも一興かと思います。

次回レビュー予定は、「アデライン、100年目の恋」です。

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