10月 04

エリジウム

「エリジウム」を観ました。

評価:★★★★★

IMAXの字幕版にて。

「第9地区」で宇宙人と地球人との共存から、第三国や難民問題をクローズアップさせた二ール・プロカンプ監督が、今回は地球と宇宙との間で南北問題を表現させたのが本作。「アップサイドダウン 重力の恋人」では貧民層と富俗層を上下の世界で表現していましたが、本作では地球が貧民層、人工衛星都市エリジウムを富俗層として描いています。「アップサイドダウン」は恋物語と幻想的な空間美が中心だっただけに社会的なテーマが希薄でしたが、本作では同じ人間なのに生まれてきた場所による社会差が如実に描かれています。「第9地区」でも宇宙人との共存が自然に見えるような世界観を見事に表していましたが、本作でも衛星都市との関係が社会的なリアル感としてに伝わってきます。

前作がやや低予算向きにつくられていたこともあって、一部の映画マニアしか入口がなかったのですが、マット・デイモンやジョディ・フォスターなどの豪華どころを本作では使っていて、作品としての魅力も大幅にパワーアップ。それでいながら、社会的風刺や問題提起をさらっとやってのけるところはさすがだと思います。ラストはあれでいいのかというのは答えが万別だと思いますが、本当の理想郷<ユートピア>とは何なのかをじっくりと考えさせられます。

本作を面白いと感じた人は、是非「第9地区」のほうもチェックして欲しいです。

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