12月 03

ギャラクシー街道

「ギャラクシー街道」を観ました。

評価:★

「清須会議」、「ラヂオの時間」の三谷幸喜監督の2015年の新作は、なんと舞台が宇宙の、宇宙人によるスペース・コメディ。映画作品の中でもSFコメディという分野は思いつくだけで、「ギャラクシー・クエスト」くらいしかない(もちろん、コメディ調といえば、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」とかもあるけど)という難しい分野を、コンスタントにヒット作品を出し続ける三谷監督が手掛けるというだけあって、期待半分不安半分というところでしたが、フアンの方が的中した残念な作品になってしまったように思います。

映画の構成としては、たくさんの人々が行き交う群像劇のグランドホテル形式。よく考えれば、三谷監督は本作と同じ香取慎吾出演作の「THE 有頂天ホテル」でやってしまっているんですよね。それ以上に本作が難しいのは、外は宇宙空間という設定の狭い宇宙型コロニーの中で行ってしまっていること。コロニーの中も行き来は見られるのですが、主となるのはハンバーガーショップの中のみの非常に狭い空間に押し込んでいること。これが舞台劇なら転換とかで工夫することができるのですが、映像の場合は、狭い店内で視点を移し替えるだけに過ぎない。1つ1つのエピソードは面白いものの、それはその場しのぎの小ネタレベルに過ぎず、お話をダイナミックに展開するようなところもない。狭い空間に、拡がりのないお話に客はヤキモキするしかないのです。

でも、一昔前まではSF(特に宇宙モノ)といえばハリウッドで、日本では安っぽい舞台設定(怪獣映画や特撮モノは別ですが)で作るしかなかったものが、今や日本人が演じていても、奇々怪々な宇宙モノとして仕上がるので、それはそれで大したものだと思います。タイトル名となっている”ギャラクシー街道”も、どこかアメリカの”ルート66”のような寂れた大街道を想像できて、やりようによっては渋いドラマにもできたかと思います。安っぽくてもいいから、もうちょっと空間に広がりをもたせ、カメラの見えないところでも同時進行でドラマが進むようにすれば、もっとワクワクするような物語設定もできたように思うのですが。

次回レビュー予定は、「キングスマン」です。

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