5月 14

クジラのいた夏

「クジラのいた夏」を観ました。

評価:★★★☆

きっと日本の若者の大半が地方の出身だと思うけど、そういった若者たち(元・若者たちも含め)が見ると、何かしら懐かしい想いを喚起されるような映画でした。「そこのみにて光輝く」の感想文でも若干触れましたが、地方都市というのは都会に比べ、コミュニティの単位が小さくなるので、自分がしたいという想いや行動をなかなか実現できないのが現実。例えば、家族というものに束縛されていて、家の仕事を継ぐということを運命づけられている若者にとって、自らどういう夢なり、人生を歩んでいくのかという部分と折り合いをつけることって結構大変だと思う(小さい頃から、家の仕事に誇りを持って継げる人は、それはそれで素晴らしいと思うのだけど)。それ以上に大変なのが、サラリーマン家庭で、特に”家”での束縛はないけど、地方で夢を持てない若者たち。だからといって、このまま地方でうずもれてしまうのも本意ではない。都会に出ていくことが、自分の未来を作ってくれることなのか? ゆとり世代のモラトリアムは、こういった問題にどう取り組んでいくかを描いている。

これは現代に限らず、昔でも夢を持てない若者というのはいたと思うし、何気なく普段を過ごしてしまうモラトリアムな人もいたと思う。僕自身もそういった時期もあったし、今でも仕事はしているが、仮想モラトリアムになってしまうこともないわけではない(笑)。でも、「銀の匙」の校長先生の台詞ではないけど、”夢がないということは、これから夢をもてる”ということなのだ。それは都会にいようが、地方にいようが、海外にいようが、”可能性はいつも無限大”だと思う。もちろん、家族や友人、愛する人などの他者との関係で、100%自分らしくできないことは大いにあるだろう。でも、”可能性はいつも無限大”という思いを持てるか持てないかで、人生はガラリと変わると思うのです。

本作で、主人公チューヤを演じる野村周平と、吉田康弘監督は「江ノ島プリズム」でもコンビを組んでいた(「江ノ島プリズム」では野村くんは準主役だったけど)。吉田監督は、こうした現代の若者たちの醸し出す雰囲気を、前作でも、今作でもうまく描いていると思います。地方の若者たちにありそうな想いが詰まった脚本に、僕自身も地方出身なので、胸をキュンキュンされるポイントがいっぱいありました。題名にもある”クジラ”も、素敵な形で最後に登場するのもいいですね。久々に爽やかな青春映画を見せてくれました。

次回レビュー予定は、「ブルージャスミン」です。

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